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SS紹介

ご訪問ありがとうございます。
ここは深夜VIPで書いたSSのまとめブログです。
それにあたって、一部に加筆修正を加えています。
よろしければご覧ください。


【オリジナルSS】
巫女「すべての巫女がミコナンバーカードを持っています」
R-18
エッチな巫女さんSSです。


幼馴染「今日はハロウィンだよね♪」
PG-12
少し切ないハロウィンSSです。


女幽霊「死後の世界がエッチなアプリだったなんて……」
R-15
サスペンス系の女幽霊SSです。


勇者「わらしべ勇者の冒険」安価
R-18
基本的に安価の勇者SSです。


勇者「ドーナツの世界?!」
R-15
様々なパズルが活躍する勇者系パズルSSです。


女勇者「私はただの村娘ですよ……」
全年齢
ほのぼの村娘SSです。


女勇者「魔王を倒すなんてムリです」安価
R-18
ぽんこつな女勇者が安価で頑張るSSです。
ちなみに、上記SSの元ネタです。


あなたへのドルチェ
三題小説をSSにしたものです。
テーマは『ピアノ』『あまい』『雪』を使うこと。
クリスマスらしい恋愛SSになっていると思います。



【掌編小説】
夏休み
夏休みをテーマに書いた掌編小説です。


やり直し
やり直しをテーマに書いた掌編小説です。
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巫女「すべての巫女がミコナンバーカードを持っています」

1 以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 17:57:59 ID:rq189ViA
年が明けて、2016年を迎えた元日の朝。
俺は車で1時間かけて、とある神社にやってきた。


男「ここが縁結びで有名な神社か。さすがにすごい人だな……」


お正月ということもあり、境内は参詣客で溢れている。
若い男女に親子連れ。
この神社は恋愛だけではなく、家族の縁やお金の縁、健康や学問にも効果があると言われているからだ。
そのため、各地から多くの人が訪れているのだろう。

まあ、
俺にとっての縁結びは恋愛一択だ。
彼女いない歴を、生まれたときから今日まで更新し続けている。
そんな俺でも縁結びが出来ると言うのなら、ぜひ御利益にあずかりたいものだ。


2
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:00:16 ID:rq189ViA
参拝者の列に30分近く並び、ようやく順番が回ってきた。
俺はこの日のために用意した45円を賽銭箱に入れて、二礼二拍手を行う。
そして、神様にお祈りをした。


男『今年こそ、可愛い彼女が出来ますように――』ペコリ


これで今年こそ彼女が出来るだろう。
俺はそう思い、拝殿前を離れて授与所に向かった。
後は御守りを買えば、縁結び祈願は終了だ。


男「あ、あの……。この御守りをお願いします」

少女「五千円をお納めください」

男「……結構、高いな」

少女「ありがとうございました」


3
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:01:51 ID:rq189ViA
・・・
・・・・・・
女性「……すみません、やめてください!」

男性「ふざけるな! こっちは高い金を払ってんだよ!!」

女性「で、ですから、何度もお止めしたはずです」

男性「ふざけんな!」


御守りを買って社務所に向かっていると、離れのほうから男性の怒鳴り声が聞こえてきた。
どうやら、おみくじを販売している巫女さんが絡まれているようだ。
一般の参詣客が避けて通っているし、迷惑な客がいたものだ。
俺は少し迷ったが、勇気を出して声を掛けることにした。


男「あの、そちらの巫女さんが困っているようですけど」

男性「んだよ、お前。こっちは5回も空クジを引いてムカついてんだよ!」

男「空クジ?」


4
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:02:30 ID:rq189ViA
巫女「そ……そのことも、事前にご了承いただいたはずです」

男性「どうせ、全部ハズレなんだろ。ぼったくってんじゃねえぞ!」

男「事情は分かりませんけど、クレームがあるなら巫女さんではなくて、この神社の宮司と話をしたほうがいいと思いますよ」

男性「……ちっ、それもそうだな。ふざけやがって!」


男性は吐き捨てるように言い放つと、社務所へと向かっていった。


巫女「あのっ、助けていただいてありがとうございました」ペコリ

男「えっと、その……大丈夫でしたか」

巫女「はい、おかげさまで大丈夫です//」

男「そ、そっか。それは良かったです」


5
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:03:19 ID:rq189ViA
巫女「ところで、縁結びの御守りをお持ちだということは、あなたもおみこじをお引きになるのですか?」

男「えっと、はい。500円ですよね」

巫女「あの、おみこじは2万円をお納めください」

男「に……2万円?! でも、そこには500円って書いてあるんだけど」


おみくじ:200円
縁結びおみくじ:500円


巫女「はわわ、失礼いたしました。おみこじではなくて、縁結びおみくじを引かれるのですね」アセアセ


6
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:04:18 ID:rq189ViA
男「ちなみに、おみこじって何なんですか。言い間違い――じゃなさそうですよねえ」

巫女「おみこじは、私たち巫女と縁を結ぶことが出来るものなんです」

男「巫女さんと縁を結ぶ?」

巫女「はい。詳しい説明は致しかねますけど、縁結びの神社ですので……。ちなみに今は50名の巫女が奉仕しておりまして、すべての巫女がミコナンバーカードを持っています」

男「は、はあ」


ミコナンバーカード、ねえ。
どこかで聞いたことがあるような名前だな。


巫女「もうお察しでしょうけど、おみこじには巫女ナンバーが記入されたみくじ棒が入っているんです。ただし神様のお力により、何も書かれていないみくじ棒が出てくることがあります。その場合はご縁がなかったということで、巫女との縁結びはございません」

男「それが、さっきの男性なんだ。ハズレくじを入れるっていうのは、やっぱり良くないんじゃないかな」

巫女「無記入のみくじ棒は入っておりません。それにそう思うのでしたら、縁結びおみくじを引かれることをお勧めします」


7
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:05:03 ID:rq189ViA
さて、どうしたものか――。
ハズレを入れていないのにハズレが出るということは、上下逆さまに出てくることがあるということだろう。
つまり、2分の1の確率で誰かと付き合うことが出来ることになる。

1回が2万円。
2万円で彼女が出来る。
予算は超えているけど、お金はある。

お祈りしたし、御守りも買ったし……。
何だか怪しいサイトみたいだけど、神社だから大丈夫だよな。


男「じゃあ、1回だけおみこじを引いてみます」

巫女「ありがとうございます! それでは、2万円をお納めください」

男「は……はいっ」


8
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:05:38 ID:rq189ViA
諭吉さんを渡し、巫女さんからみくじ筒を受け取った。
付き合う相手がこの人だったら良いのにな。
美少女で可愛いし、少しだけど話もしたし……。

これを振れば、彼女が出来るかもしれない。
そう思うと、何だか心臓がバクバクしてきた。


じゃらじゃらじゃら・・・。

ストン――。


巫女「あっ、みくじ棒が落ちましたよ!」

男「えっ?! ご、ごめん」

巫女「いえ、大丈夫です」


まさか、おみくじの棒が落ちるとは思わなかった。
俺は慌てて棒を拾い、申し訳ない気持ちで巫女さんに手渡した。


9
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:06:10 ID:rq189ViA
巫女「えっと、巫女ナンバーは1104番ですね」

男「あっ、ほんとだ。それって、誰なんですか」

巫女「その番号は確か――。えっ、ええぇぇぇっっ!?」

男「どうかしましたか」アセアセ

巫女「あうっ// その……1104番は、わたし、なんです」


巫女さんがミコナンバーカードを取り出す。
それには彼女の名前と生年月日、そして『35‐1104』という数字が書かれていた。


男「…」

男「……」

男「ええぇぇぇっっ!!!」


10
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:07:12 ID:rq189ViA
男「ど、どうしたらいいんだろ」アセアセ

巫女「えっと、もうすぐ休憩中の巫女が戻ってきますので、その後は私と一緒に社務所までお願いします//」

男「は、はいっ」


マジかよ。
100分の1の確率でこの巫女さんが選ばれるだなんて、とても信じられない。
この展開はお約束すぎるだろ!


巫女「あの、待っている間にお名前を聞かせていただいても結構ですか?」

男「お……俺は男です」

巫女「素敵なお名前ですね。これからよろしくお願いします//」テレッ


11
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:07:44 ID:rq189ViA
~社務所~
男「へえ、中ってこういう風になってるんだ」

巫女「最近は和室が珍しくなっていますよね。すごく落ち着くと思いませんか」

男「そう……ですね」

巫女「ふふっ、それは良かったです」

男「……」


一瞬で会話が終わってしまった。
何だか、沈黙のせいで居心地が悪い。


巫女「えっと私……」

男「は、はいっ」

巫女「この神社に住み込みでご奉仕させていただいているんです。今年で4年目になるんですけど、こんなに早くご縁が巡ってくるだなんて考えていませんでした」

男「そうなんだ」

巫女「はい。あの男性から助けていただいたとき、すごくうれしかったです。それが私たちのご縁だったのでしょうね//」

男「あのときは俺も怖かったんだけど、巫女さんを助けないとって思ってて、それで勇気を出して――」

巫女「ありがとうございます。その勇気を神様がご覧になっていたのですね//」ニコッ


12
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:08:21 ID:rq189ViA
巫女「ところで、私のことを名前で呼んでほしいです」

男「えっと、神楽麻衣さんだっけ。今日が誕生日なんだよね」


ミコナンバーカードにそう書いてあった気がする。
とても巫女さんらしい名前だと思う。


巫女「そうなんです、ありがとうございます。それで私の名前なんですけど、みんなは麻衣ちゃんと呼んでいます」

男「じゃあ、俺も『麻衣ちゃん』って呼べばいいんですか」

巫女「はいっ// 名前で呼ばれると、親近感が湧きますよね♪」

男「うん、そうですよね」

巫女「それでは、私は禊ぎをして参ります。男さんは、ごゆるりとなさっていてくださいね」トテトテ


麻衣ちゃんはそう言うと、待合室を出て行った。
たしか、禊ぎって身体を洗って清めることだよな。
一体何が始まるのだろう。
そう思っていると、彼女と入れ替わりで神職の男性が入ってきた。


13
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:09:51 ID:rq189ViA
神職「こんにちは、宮司と申します。あなたが彼女とご縁があった殿方ですね」

男「えっと、はい。あっ、そういえば柄の悪い男性がここに来たと思うんですけど、その人はどうなったんですか?」

宮司「……なるほど、そういう巡り合わせでしたか。ご心配なく。彼には丁重にお引取り願いましたよ」

男「少し気になっていたので、大丈夫そうで良かったです」


どうやら、何事もなく事が済んだようだ。
特に俺が気にする問題でもないし、これ以上考える必要はないだろう。


宮司「それでは、穢れを祓うためにお屠蘇でもいかがですか」

男「それがその、今日は車で来てまして――」

宮司「それでしたら、煮切ったものをご用意いたしましょう」

男「ありがとうございます」


14
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:10:21 ID:rq189ViA
男「ところで、これから何が始まるんですか」


俺はお屠蘇を飲み終えると、宮司さんに尋ねた。
何だか、とんでもないことに巻き込まれつつあるような気がする。


宮司「ただの縁結びでございます」

男「縁結び……」

宮司「はい。神の子である巫女と結ばれることは、それすなわち神様と縁を結ぶこと。それはそれは、大変喜ばしいことなのです」

男「神様との縁結び、ですか?!」

宮司「ここが縁結び神社として名高いことはご存知ですよね。つまり殿方と巫女のご縁を取り持つことが、この神社の伝統なんです」

男「ああ、そういうことなんですね。びっくりしました」

宮司「それでは席を外しますので、何か御用がありましたらお呼びください」

男「分かりました」


15
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:11:14 ID:rq189ViA
・・・
・・・・・・
巫女「男さん、お待たせしました」

男「あの、全然待ってないです」

巫女「禊ぎのついでにお菓子を持ってきたのですけど、一緒に食べませんか」


麻衣ちゃんはそう言うと、お盆を卓袱台の上に置いた。
小皿の上に和菓子が乗っていて、お茶も用意されている。


男「じゃあ、いただきます」

巫女「いただきます」

男「あまさが程よくて、すごく美味しい」

巫女「えへへ// 実は私が作ったんですよ」

男「麻衣ちゃんが?」

巫女「はい。午後から初詠みの会があるのですけど、そのときに召し上がっていただくお菓子なんです。それを少し、特別に分けていただきました」


16
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:20:36 ID:rq189ViA
男「麻衣ちゃんはお菓子作りが上手なんですね」

巫女「お菓子作りというか、こちらに住ませていただいている身ですから。お料理だけではなくて掃除、洗濯も出来ないと勤まりませんし、巫女舞の練習も欠かせません。毎日、かなり忙しいです」

男「へえ、大変だね」

巫女「男さんは、普段どのようなことをされているのですか?」

男「俺は普通の会社員で、夜は同僚と飲みに行ったり、休日は友達と遊びに行くことがあるくらいかな。でも、最近は家で過ごすことのほうが多いかも」

巫女「彼女がいないと、年末年始のイベントは寂しいですよね」クスクス

男「……それは、まあ」

巫女「でも、そのおかげで私は男さんに出逢えました。今までお待たせして、本当に申し訳ありませんでした//」


巫女装束に身を包み、満面の笑みを浮かべている麻衣ちゃん。
正座をしている緋袴の切れ目からは白衣が覗き、お尻のラインが見えている。
そんな彼女の言葉を聞いていると、何だか心が満たされてきた。

俺も笑顔で返し、麻衣ちゃんを見詰める。
すると、彼女がにじり寄ってきた。


17
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:21:08 ID:rq189ViA
巫女「私、神様から賜わったこのご縁を大切にして、男さんに相応しい女性になりたいです。私を受け入れてくださいますか?」


お互いの手が触れ合い、彼女が不安そうに俺を見た。

ちょっと待て。
これって、告白なのか?!

おみこじを引いたら、この神社の巫女さんと縁結びが行われる。
その巫女さんは礼儀正しいイメージで、彼女は掃除や家事が得意らしい。
しかも、美少女で可愛い。

断る理由は――、どこにもない!


男「こちらこそ、麻衣ちゃんが彼女になってくれたら、すごくうれしいです」

巫女「ありがとうございます//」テレッ


18
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:22:10 ID:rq189ViA
巫女「それでは男さん、これからよろしくお願いします」


麻衣ちゃんは切なそうに言うと、俺の手を取った。
そして俺のほうに上体を向けて、そっと身体を寄せてきた。
その姿は、まるで何かを待っているかのようだ。


巫女「……」


意図を理解出来ずにいると、麻衣ちゃんが目を瞑った。
それを見て、俺はようやく理解した。
彼女に顔を近づけ、ゆっくりと唇を重ね合わせる。


巫女「これで恋人同士、ですよねえ?」

男「そ、それはもちろん!」

巫女「……良かった// これから、もっと男さんのことを知りたいです」


19
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:23:25 ID:rq189ViA
その言葉を聞いて、俺はもう一度唇を重ねた。
そして、欲望に任せて舌をねじ込んだ。
弾力のある舌に触れ、そのまま口の中をまさぐっていく。
すると、さっき食べた和菓子の味がした。


巫女「んんっ…んっ……」

男「麻衣ちゃんの中、あまい味がする」

巫女「うぅ……、恥ずかしい//」


麻衣ちゃんはそう言うと、恥ずかしそうに微笑した。
まったく嫌がる様子はなく、繋いだ手に熱がこもっている。
俺は彼女の背中に腕を回し、改めてキスをした。
今度は麻衣ちゃんも積極的に舌を差し込んできて、お互いにぎこちなく絡ませ合う。

もっとキスをしたい。
もっと、麻衣ちゃんを感じたい――。


20
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:24:05 ID:rq189ViA
巫女「んっ、んぅっ……」

巫女「ぁんっ……ぅん…………」


そっと胸に触れると、麻衣ちゃんの声に吐息が混じった。
初めて触る女性の胸。
それは弾力があり、とても張りがあった。

もう、興奮を抑えることが出来ない。
俺は少しずつ手に力が入っていき、麻衣ちゃんの胸を揉みしだく。
すると彼女は足を崩し、上体を反らし始めた。
そしてそのまま、仰向きに寝そべった。


21
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:25:04 ID:rq189ViA
巫女「あの……男さん。キス以上のことは、その……良くないと思います」

巫女「私はまだじゅ――ぅんっ、んんっ……//」


俺は麻衣ちゃんに覆いかぶさり、唇を塞いだ。
そして、彼女を見詰めた。


男「麻衣ちゃんから誘ってきたわけだし、俺のことを知りたいって言ってくれたよね。だから、俺も麻衣ちゃんのことをもっと知りたいと思う」

巫女「そ、それはその、私はキスだけのつもりで……」


麻衣ちゃんはそう言うと、困ったように視線を泳がせた。
そして、その視線が一ヶ所に釘付けになった。


巫女「……!! お……大きくなっていますね//」

男「それは、麻衣ちゃんがすごく可愛いから――」

巫女「か、可愛いですか//」

男「俺は会ったときから、そう思ってた。それに胸もすごく柔らかくて//」

巫女「はうぅぅっ……//」


22
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:25:40 ID:rq189ViA
巫女「で、でも……衿が乱れてしまいます…………」


麻衣ちゃんはか細い声で言うと、右腕で襟首を隠してしまった。
そのせいで、胸元に袂が覆いかぶさる。
どうやら、彼女を困らせてしまったようだ。
はじめてキスが出来て、少し舞い上がりすぎていたのかもしれない。


巫女「……」

巫女「……?」

巫女「あ、あの――」チラリッ

巫女「い、いえ……何でもないです//」プイッ


麻衣ちゃんはそう言うと、おもむろに左腕を広げた。

あっ!
そういえば、女性の着物は袂が開いていると聞いたことがある。
そこから手を入れれば、衿を乱さずに胸を触ることが出来るかもしれない。


23
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:26:13 ID:rq189ViA
男「麻衣ちゃん、起き上がってくれるかな」

巫女「は、はい……」


俺は背中側に移動し、袂の後ろ側を確認した。
するとそこは、想像した通りに縫い止められていなかった。
その大きく開いた袖下からは、中に着ている白い襦袢の袖が見えている。
さらに彼女が腕を動かすと、一瞬だけ素肌までも見ることが出来た。


男「ここからなら良いよね?」

巫女「……ええっ、振りからですか?!」


俺は麻衣ちゃんを抱き寄せて、袂に手を入れた。
彼女の細腕に触れて、撫でるようにして二の腕へと滑らせる。
そして脇の下をくぐって、胸元に手を伸ばした。
しかし角度が悪いらしく、なかなか胸の膨らみに手が届かない。


24
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:26:48 ID:rq189ViA
巫女「ふふっ。身八つ口を知らないって、男さんは本当に初めてなんですね」

男「……ごめん、身八つ口って何のこと?」

巫女「女性の着物は、脇の下に穴が開いているんです。そこから手を入れて衿を正したり、おはしょりの形を整えるんですよ」

男「へえ、知らなかった」


俺は感心して、ためしに袂をめくってみた。
すると、本当に脇の下に切れ目があった。
ここからならば、普通に手を入れられそうだ。


巫女「はうんっ……//」


身八つ口から手を入れると、容易に胸を揉むことが出来た。
その柔らかさは、襦袢の上からでも分かる。
しかも、白衣の上から触っていたときとは段違いの柔らかさだ。


25
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:27:24 ID:rq189ViA
男「麻衣ちゃんの胸、すっごく柔らかいよ」

巫女「こういうことをするために、教えたわけではありま……せん。良くないことだと思います」

男「でも、可愛い声を出しているよね」

巫女「だって……、男さんがいやらしいから――//」

男「白衣の下に着ている襦袢にも穴が開いているの?」

巫女「そ、それは……。し、知らないですっ//」

男「じゃあ、調べてみるね」

巫女「んんっ、んぅっ……」


脇の下をまさぐると、麻衣ちゃんが身を捩じらせた。
それを気にせず触っていると、ほぼ同じ場所に切れ目を見つけることが出来た。
その下には、さらにもう一枚薄い肌着を着用している。
俺はその肌着の切れ目も探し、手を差し込んだ。


26
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:28:19 ID:rq189ViA
巫女「あぁん、あっ、あぁっ…………」


胸の膨らみに到達し、手の平で包み込む。
まるで柔肌が吸い付いてくるかのようだ。
俺は揉んだり回したりを繰り返しながら、ときどき指先で乳首をはじく。
すると、麻衣ちゃんがびくんと身体を震わせた。


男「もしかして、気持ちよかった?」

巫女「よく分からないけど、もやもやして気持ちいい……です」

男「巫女さんなのにエッチだね」

巫女「そ、それは男さんが、も……揉んでくるからですよっ//」

男「でもノーブラだし、麻衣ちゃんは普通にエッチだよね」

巫女「それはその、和装ブラが必要なほど大きくないからで……。それにエッチなのは関係ないと思います」アセアセ


27
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:29:11 ID:rq189ViA
男「じゃあ、下着を着ていないって話は本当なんだ」

巫女「白衣の下に着ているものは、全部和装の下着なんです。確かに洋装の下着は着ていないですけど、だからと言って下着を着ていないことにはなりません」

男「ということは、ショーツを穿いてないってことか」


俺はそう思い、緋袴を捲り上げてみた。
すると白衣の裾が足首まで覆っていて、脚が完全に隠されていた。
生足はまるで見えない。

それならばと、俺は白衣の裾を左右に広げる。
しかし長襦袢のせいで、また足首まで隠されていた。


巫女「わわっ、裾をめくらないでください。み、見えちゃいます//」

男「恋人同士なら、その……見ても問題ないよね」

巫女「それは、そうですけど……」

男「なら、見ちゃおうかな」


28
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:30:16 ID:rq189ViA
巫女「あの、胸を触る以上のことをしたいなら、少しだけ聞いてください」

男「う、うん」

巫女「私はこの神社で奉仕をするようになって、この縁結びで契りを交わした殿方と巫女のために、何度も巫女舞を奉納してきました。私はこの縁結びを信じているんです」

巫女「そしてこの神社の巫女として、この縁結びを信仰しています。それくらい、私にとって大切なことなんです」

男「つまり、したいなら真剣な交際をしてほしいってこと?」

巫女「はい。そして、これからもお互いに向き合っていきたいです//」


麻衣ちゃんは住み込みの巫女だ。
巫女だから礼儀正しくて、家事も出来る。
しかも、美少女で可愛い。

そんな彼女と、セックスが出来る。
というか、もう我慢できない。

彼女いない歴イコール年齢の俺には、これ以上の良縁は訪れないだろう。
ならば、このまま付き合ってしまうべきだ。
断る理由は――やっぱりない!


29
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:31:06 ID:rq189ViA
男「分かったよ。俺も真剣に向き合っていこうと思う」


俺はそう言って、麻衣ちゃんに口付けをした。


巫女「……男さん、優しくしてくださいね」


その言葉に頷き、俺は長襦袢の裾を左右に広げた。
すると、ようやく生足が見えた。
膝下ほどの腰巻が露わになって、その薄い布地からは太ももが透けて見えている。

はだけた白装束と、捲り上げられた緋色の行灯袴。
俺の腕の中で、清廉な巫女が淫らな姿に変わっていく。
そして太ももを優しく撫でながら、最後の一枚を開いた。


30
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:31:51 ID:rq189ViA
男「あれっ、ショーツは穿いてるんだ」ショボン

巫女「穿かないと恥ずかしいし、寒いじゃないですか」

男「それもそうか……」


俺はそう言いつつ、ショーツに指を滑らせた。
すると、股の部分がマジックテープで止められていることに気が付いた。


男「巫女さんの下着って、こうなってるんだ。外すよ」

巫女「……はぃ…………」


俺はそっと摘んで、マジックテープをはがした。

ビリビリッ・・・


巫女「……///」


大きな音が鳴り、クロッチが外れて女性器が露になる。
そっと触ってみると、ぬるりとぬめっていた。


31
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:32:52 ID:rq189ViA
男「これって、もしかして濡れてる?」

巫女「そ、それはその……わわっ、分かりませんっ……//」

男「ほらっ」クチュクチュ

巫女「あっ……あんっ…………んっ、んぅっ……」

男「やっぱり濡れてる」

巫女「だって、男さんがいやらしいことをしてくるから……//」

男「いやらしいことって、こういうことかな」サワサワ

巫女「はうんっ……ああっ、あぅっ……ううっ……」

巫女「もう少しやさしく……して、ください」

男「じゃあ、これくらいで」

巫女「そう、それがいいです……。あうんっ…あっ、んんっ…………」


言われた通りに触ってあげると、麻衣ちゃんの声に艶が出てきた。
俺に背中を預け、快感に身を委ねている。
あそこを濡らして、感じてくれている。


32
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:38:16 ID:rq189ViA
もっといやらしい姿を見たい。
俺はそう思い、緋袴の帯に手を掛けた。


巫女「……袴は脱いだほうがいいのですか?」ハアハァ

男「そうじゃなくて、おっぱいを見たいと思って」

巫女「……小さい、ですよ?」

男「そんなことないと思う」

巫女「……」


麻衣ちゃんは少し考え込み、緋袴の下に手を入れた。
そして腰帯を解くと、綺麗にたたんで卓袱台の上に置いた。


33
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:39:02 ID:rq189ViA
巫女「小さくても、がっかりしないでくださいね//」


その言葉を聞いて、俺は意気揚々と白衣の衿を開いた。
しかし、同じく白色の長襦袢が見えるようになっただけだ。

そう言えば、3枚くらい重ね着してたっけ……。
かなりじれったい。
だけどブラジャーは着けていないから、脱がせればすぐに見ることが出来る!

俺はそう思い、長襦袢をはだけさせた。
すると肌着はガーゼのような素材で、胸が透けて見えていた。
ちょっと意表を突かれた感じだ。


男「麻衣ちゃん、乳首が透けてるんだけど」サワサワ

巫女「あぅん……もう、いたずらしないでくださいよお//」

男「それじゃあ、もっといたずらしちゃおうかな。肌着も脱がせちゃうよ」


34
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:40:04 ID:rq189ViA
俺はそう言って、肌着の衿を開いた。
肩があらわになり、二の腕へと袖を下ろしていく。
そして肘まで下ろしたくらいで、先に脱がせていた白衣の袖を着せた。

こうすれば、エロゲーなどで見る半裸の巫女さんと同じ格好になる。
俺は正面に回りこみ、舐めるように彼女を見詰めた。

白衣の衿を乱し、程よい大きさの乳房を露わにした巫女さん。
その膨らみの下は腰まで捲り上げた緋袴が印象的で、白衣の裾からは脚と女性器をさらけ出している。
その姿はとても背徳的で、それでいて生娘の柔肌を神秘的に魅せている。


巫女「やっぱり……小さいですよね」

男「そんなことないよ。麻衣ちゃんはすごく綺麗だと思う」

巫女「……うれしい//」

男「じゃあ、おっぱい触るよ」

巫女「あうっ……あぁっ、男さん……」

巫女「んっ……もっと、あなたを知りたいです」

巫女「はうっ、あぁん……あぁ…あっ…………ぁんっ」


35
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:41:20 ID:rq189ViA
男「麻衣ちゃん、もう我慢できない」

巫女「はぅっ……んんっ、我慢……です、か」ハアハァ

男「一つになりたい」

巫女「……!!」

巫女「それって、私はどうしたらいいのですか。その……初めてでよく分からなくて//」


麻衣ちゃんはそう言うと、不安そうに俺を見詰めてきた。
こういときこそ、オトコの俺がリードしないといけないはずだ。


男「俺に任せてくれたらいいと思う」

巫女「……は、はい。お願いします//」


俺の言葉を聞いて、麻衣ちゃんは恥ずかしそうに微笑んだ。


男「じゃあ、優しくするから」


36
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:43:11 ID:rq189ViA
俺はズボンを脱ぎ、そしてパンツを脱いだ。
麻衣ちゃんの視線は硬くなった陰茎に釘付けになっている。


巫女「あうぅぅ、これが男さんの――」

男「麻衣ちゃん」


ついにセックスが出来る。
俺は白装束の裾の上に座り込み、女性器に陰茎を近づけた。
そして、ふと気が付いてしまった。

やばいっ!
コンドームを持ってないぞ、俺っ!!


37
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:46:01 ID:rq189ViA
巫女「あの、私の身体、何かおかしいですか?」

男「いや、そうじゃなくて」アセアセ

巫女「あっ、ああ! 白衣の上に乗ることでしたら、神様にお許しをいただきますから。ですからその、お気になさらないでください」ニコッ

男「それは気にしてないというか、気にしないといけないんだけど……」

巫女「……?」

男「えっと、麻衣ちゃんはゴムを持っていたりするかな」

巫女「ゴムって髪留めのことですか? それでしたら、私の部屋に行けばありますよ」

男「そうじゃなくて、その……コンドームを持ってなくて――」

巫女「こんどーむ?」


まさか知らないのか?!
巫女さんが処女だというのはよく聞く話だけど、こんなにも無知だとは思わなかった。
背徳的な姿態と純真無垢な心。
そのギャップが、彼女を穢したいという欲望を膨らませていく。


38
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:46:57 ID:rq189ViA
巫女「何のことかよく分からないですけど、私は男さんに初めてを捧げたいです//」


麻衣ちゃんが俺の左手を取り、期待の眼差しを向けてきた。
俺に任せろと言ってしまった手前、もう後には退けない。
今はセックスが出来る、それだけでいい!


男「じゃあ、入れるよ」

巫女「……はい」コクリ


麻衣ちゃんが小さく頷いたのを見て、俺は女性器の割れ目に亀頭を押し当てた。
そして膣口を押し広げ、処女膜を突き破る。


巫女「あうっ、あうぅぅっ……!」


すると彼女は悲痛な声を出し、身体を強張らせた。
俺の手を握る力が強くなり、もう一方の左手は白衣の袖口をぎゅっと握っている。
そのせいなのか膣がかなりきつくて、なかなか最後まで入ってくれない。


男「え、えっと、優しくするから。だから……」

巫女「ううっ……は、はぃ…………」


39
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:48:02 ID:rq189ViA
俺は空いている手で麻衣ちゃんの胸を触り、少しでも気持ち良くなってもらおうと思った。
そして、少しずつ押し進めていく。


巫女「うぅぅっ、んんぅっ……!!」

男「麻衣ちゃん、全部入ったよ」

巫女「……はあはあ//」

男「麻衣ちゃんの中、すごく熱くなってる」

巫女「はうぅ、何だか恥ずかしい//」

巫女「んっ、んんっ……」


動かすとすぐにイってしまいそうなので、最初にキスをした。
そして口の中に舌を挿入して、お互いを確認する。


巫女「うふふ、この次はどうなさりたいですか//」

男「もっと気持ちよくなりたい」

巫女「良い……ですよ//」


40
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:50:13 ID:rq189ViA
男「それじゃあ、動かすね」

巫女「は、はいっ」

巫女「あうぅっ! あんっ、ああぁん……」

巫女「ああぁっ、あうんっ……あっ! あうっ、あああんっ!!」

男「麻衣ちゃん、気持ちいい!」


腰を動かすたびに、熱い粘膜が絡みついてくる。
それに合わせて麻衣ちゃんが淫らに喘ぎ、嬌声を上げている。
そのことが嬉しくて、俺はさらに腰を突き上げる。


巫女「男さん……はうっああぁん! あぁん……きもち、いい…の」

巫女「はあはぁ、あうんっ……んんっ、んっ…………」


41
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:50:58 ID:rq189ViA
男「麻衣ちゃん、イきそう」

巫女「あんっ、やんっ……いぃ、いく? あんっ、ああ……」

男「もうイクっ」

巫女「んんんっ! あうっ、ああぁん……ああぁんんっ!!」

巫女「……はうんっ!!」

ドピュッ
ドピュドピュッ・・・

巫女「はあはあ、いった……ですか」

男「麻衣ちゃん、ありがとう。すごく気持ちよかった……」チュッ

巫女「んっ、んんっ」

巫女「……こんな気持ちになったのは初めてです//」

男「俺もだよ。すごく満たされている感じがする」

巫女「はい……私もです//」


42
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:51:55 ID:rq189ViA
巫女「……あれっ?」

巫女「わわっ、早く拭き取らないと」アセアセ


ふと見ると、朱色の血液と白い精液が腰巻に流れ落ちていた。
自分を抑えられなくて、つい中に出してしまったのだ。

姫初め、完了。
筆下ろしも完了。
なんてどころではないっ!


男「ご、ごめんっ!」

巫女「これが男さんの精液なんですよね。お洗濯当番の方に見られたら、少し恥ずかしいです//」

男「ええっ?! 心配するところって、そっち?!」

巫女「そっちと言われましても、他にどんな事を心配するんですか?」

男「それはその……妊娠するんじゃないかとか。そういうことを――」

巫女「そのことでしたら、男さんが私と性的な関係を持ったときから結果は変わらないでしょうし、それもご縁ですから//」

男「それって、どういう……」

巫女「かなり恥ずかしいので、先に着付けをさせてください。男さんも衣服をお召しになられてはいかがですか?」

男「そ、そうだね」


43
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 18:53:50 ID:rq189ViA
・・・
・・・・・・
お互いに居住まいを正し、卓袱台を挟んで向かい合った。
妊娠したら責任は取らないといけないだろうけど、心配する様子がないのはどういうことなのだろうか。


巫女「えっと、男さんは私の誕生日をご存知でしたよね。それをどうやって知りましたか?」

男「それはミコナンバーカードを見せてもらったときに、そう書いてあったから――」

巫女「実は私、今日で16歳なんです」

男「えっ、ええぇぇっ!!」

巫女「そんなハレの日に縁結びで結ばれて、すごく幸せです//」


それって、かなりヤバくないか?!
知らなかったとはいえ、俺は未成年の少女とセックスをしてしまったのだ。


44
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 19:00:54 ID:rq189ViA
男「その、なんと言うか、麻衣ちゃんが16歳だったとは知らなくて――」

巫女「でも、名前と誕生日を知っていましたよね。生まれ年も書いてありますよ。それに私の場合、生年月日が一番目立つはずなんです」


氏名:神楽麻衣
生年月日:2000年1月1日
巫女番号:35‐1104


男「あっ、ああぁぁぁっ! 見ただけで気にしてなかった!!」

男「じゃあ、ここで4年間住み込みで奉仕しているって話は……」

巫女「私、この近くにある『私立かんなぎ女学園』の高等部1年生なんです。実家から遠いので寮に入ることになったのですが、学部によっては神社への住み込みが認められているんです」

巫女「だから私はここに応募して、中等部に入学したときから住み込みの助勤巫女として奉仕をすることになりました」

男「て……てっきり、高校を卒業してからだと思ってた」

巫女「男さんが授与所から御守りを授かったとき、そこで奉職していた巫女は何歳くらいに見えましたか?」

男「中学生くらい……かなあ」

巫女「はい。彼女は中等部の2年生で、冬休みの間だけ奉仕をしている巫女なんです。私と同じように、ミコナンバーカードを持っているんですよ。まあ、そういうことなんです」


45
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 19:02:32 ID:rq189ViA
男「じゃあ、ここは学生の巫女しかいないってこと?!」

巫女「ちゃんと本職巫女の方もいらっしゃいます。その方もミコナンバーカードを持っていますし、ご縁があればみくじ棒が出てきます。みくじ棒が入っていないのは、13歳になっていない巫女とすでに結婚している巫女、そして私のようにご縁が成立した巫女だけなんです」

男「じゃ、じゃあ、この神社はこういうことをしているって知ってるの?」

巫女「縁結びは個人のことなので、宮司さまが見合いの席を取り持ってくださった後のことは、すべて巫女と殿方に任されています」

巫女「男さんは私のカードを見て、誕生日をご存知でしたよね。だから私は年齢も知っていると思い、男さんに何度も言いました。これ以上は良くない……と。16歳だということも、一度は伝えようとしたんですよ」

男「あ、ああ……、そうだっけ」

巫女「そして性的な関係を結ぶ前に、この縁結びを巫女として信仰していることも説明いたしました。だから、私はこの縁談に合意があったと考えています」

巫女「男さんは『私と真剣に向き合う』と答えてくださいましたよね。その言葉を、私は心から信じています//」


ここで断ると、未成年者と関係を持った俺は確実に不味いことになる。
彼女が言った『性的な関係を持ったときから結果は変わらない』という言葉。
その意味がようやく分かった――。


46
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 19:03:37 ID:rq189ViA
男「麻衣ちゃんのこと、責任を取るよ」

巫女「私、男さんに相応しい女性になれるように頑張りますね!」

男「俺も麻衣ちゃんを幸せに出来るように頑張る――」

巫女「えへへ// このみくじ棒とミコナンバーカードは、私たちのご縁を結んでくれました。二人でずっと大切にしていきましょうね」

男「うん、そうだね」

巫女「それじゃあ、一緒に書き初めをしませんか//」


その言葉と同時、宮司と女性の神職が入ってきた。

あ、ああ、
これが縁結びか――。


~happy marriage~


47
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 19:04:34 ID:rq189ViA
巫女「すべての巫女がミコナンバーカードを持っています」
―完―


48
以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/04(月) 19:08:58 ID:rq189ViA
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。



幼馴染「今日はハロウィンだよね♪」

1 以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:06:32 ID:M0yTOYaY
ぷるるる、ぷるるる・・・


男「もしもし、男です」

幼馴染「Trick or Treat!」

男「もしかして、お菓子の催促?」

幼馴染「うん、今日はハロウィンだよね♪」

幼馴染「Trick or Treat!!」

男「うちに来てくれたら、ちゃんとあげるから」

幼馴染「ほんとに?」

男「ほんとほんと」

幼馴染「じゃあ、今から楽しみにしてるね」


2
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:09:47 ID:M0yTOYaY
男「ところでさあ、幼馴染は今年は何に仮装するの?」

幼馴染「それを言ったら面白くないじゃない」

男「それもそうか」

幼馴染「とりあえず、いろんな意味で期待してくれていいから!」

男「まあ、そこまで言うなら期待して待ってるよ」

幼馴染「それじゃあ、切るわね」

男「ああ、待ってるから」


そう言うと、本当に電話が切れた。
どうやら、お菓子の催促をしたかっただけのようだ。


3
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:14:37 ID:M0yTOYaY
男「それじゃあ、俺もそろそろ準備をするか」


俺はスマホをポケットに入れて、キッチンに向かった。
そして野菜室からかぼちゃを取り出して、あらかじめ検索しておいたレシピサイトを開いた。

毎年のように作っている、ハロウィン用のお菓子。
去年はスウィートパンプキンを作ったので、今年はかぼちゃプリンに挑戦するつもりだ。
そのためにミキサーも買ってきた。


男「そういえば、妹が好きなお菓子だったよな……」


ふとそのことを思い出し、口元が緩んだ。
それなら、気合を入れて作らないといけないな。
俺はそう思いながら、かぼちゃをレンジに入れた。


4
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:18:19 ID:M0yTOYaY
・・・
・・・・・・
焼きあがったプリンが冷えた頃、幼馴染がやってきた。
カジュアルな秋服姿で、ハロウィンの仮装はしていない。
ファッションモールの紙袋を提げているので、その中に衣装が入っているのだろう。


幼馴染「ねえねえ、今年は何を作ったの」

男「かぼちゃプリン」

幼馴染「そうなんだ。もう冷えてるの?」

男「もう少しだから、それまで我慢してくれ」

幼馴染「うんっ♪ それじゃあ、その……着替えてくるわね//」


幼馴染はそう言うと、俺の部屋に移動した。
期待してくれてもいいと言っていたけど、どんなハロウィン衣装なのだろうか。
とても楽しみだ。


5
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:21:29 ID:M0yTOYaY
しばらくして、部屋から幼馴染が出てきた。
そしてその姿に、俺は唖然とした。
黒いベビードール姿に黒色のガーターベルトとストッキング。

これは一体、何の衣装なんだ?
というか、服を脱いだだけじゃないか!


幼馴染「Trick or Treat!」


幼馴染は恥ずかしさを打ち消すかのように、力強く言い放った。
そりゃあ、恥ずかしいだろう。
下着姿なんだから。


6
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:23:58 ID:M0yTOYaY
男「あのさあ、一つ聞いていい?」

幼馴染「う……うん」

男「それって、何の仮装?」

幼馴染「えっと、その……サキュバスだよ。背中を見るとね、ちゃんと羽が付いているの//」


幼馴染はそう言うと、くるりと後ろを向いた。
確かに悪魔の羽がオプションで付いているようだ。


男「あっ、ほんとだ」

幼馴染「ねっ、すごく可愛いでしょ//」

幼馴染「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ♪」


7
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:26:36 ID:M0yTOYaY
男「そんな格好で言われたら、逆にいたずらをされたいんだけど。というか、サキュバスってどんな悪魔なのか知ってるのか?」

幼馴染「それはその……男の人を誘惑してエッチなことをする悪魔だよね」

男「一般的にはそうだけど、サキュバスは俺たちと同じなんだよ」

幼馴染「私たちと同じ?」

男「そうだよ」


イメージ先行で頑張ってくれたのはうれしいけれど、サキュバスは本当はつらい過去を持つ悪魔なのだ。
ハロウィンで仮装するならば、そのことも知っておいて欲しい。
俺はそう思い、言葉を続けた。


男「サキュバスはリリムっていう悪魔と同一視されているんだけど、リリムはつらい過去を持っている悪魔なんだ」

幼馴染「つらい過去?」


8
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:29:05 ID:M0yTOYaY
男「アダムとイブは知ってるだろ」

幼馴染「うん、知ってる。最初の人間だよね」

男「それが実は違ってて、最初の人間はアダムとリリスなんだ」

幼馴染「リリス?」

男「そう。そしてその二人から生まれてきた子供たちのことを、リリムって言うんだ」

幼馴染「へえ、そうなんだ。じゃあ、イブって女性は何なの。もしかして、浮気?!」

男「何ていうか、性の不一致が原因で夫婦喧嘩をして、怒ったリリスが家出したんだ」

幼馴染「あー、よく聞くよね。その手の離婚話」

男「それでアダムが神様に相談して3人の天使たちがリリスを探しに行ったわけなんだけど、リリスは悪魔と仲良くしていて子供が出来ていたんだ。そして、天使たちが言ったんだ」


いつまでも逃げていたら、お前の子供たちを毎日100人ずつ殺す――と。


9
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:34:02 ID:M0yTOYaY
幼馴染「はあぁぁっ?! 何、それっ!!」

男「それでも、リリスは帰ることを拒み続けた。そうしたら罰として、本当に子供たちが殺されていったんだ」

幼馴染「酷い……。子供たちは関係ないのに……」

男「それがショックでリリスは自殺をして、一人になったアダムを不憫に思った神様がイブを創ったんだ」

幼馴染「そのあと、子供たちはどうなったの? 失楽園の話でリリムの話題は出てこないよねえ!」

男「つまりは、そういうことなんだろ」

幼馴染「そう……なんだ」


10
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:37:58 ID:M0yTOYaY
男「この結末を哀れんだ天使たちがリリスを蘇生させるんだけど、リリスはアダムとイブを恨み、悪魔サタンの妻となるんだ。そして、たくさんの悪魔リリムが生まれた」

男「つまり、サキュバスはそんな生い立ちを背負っているんだ」


サキュバスとは、理不尽な理由で殺された罪のない子供たちの魂。
そして人を呪うことを運命付けられ、悪魔として生まれてきた子供たちのことだ。


幼馴染「親のエゴで子供が殺されるなんて、残酷すぎる――」

男「まあ、諸説あるけどな」

幼馴染「でも何となく、妹さんの境遇に似ているかもしれないわね」

男「そう……かもしれないな」


11
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:41:04 ID:M0yTOYaY
それは今から14年前のことだ。
俺の両親は夫婦仲がとても悪く、暴力に耐えかねた母親が家を出て行ってしまったのだ。
いくら探しても見付けることが出来ず、二度と帰って来ることはなかった。

それから数ヶ月が過ぎて、父親が知らない女と再婚した。
それと時を同じくして、父親と継母が俺たちに暴力を振るうようになった。
毎日のように罵倒し、殴る蹴るを繰り返す。


あの女から生まれたことが赦せない――。


それが、俺たちに暴行するときの口癖だった。
そして季節が巡り、妹の身体が動かなくなった。

やがて事件が発覚して、父親と継母が逮捕された。
そのときに母親の居場所が判明したけれど、妹の死を知り情緒不安定になってしまったらしい。
すでに再婚していたこともあり、俺は一緒に暮らすのが嫌で『ひまわりの家』に入所することになった。


12
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:43:47 ID:M0yTOYaY
幼馴染「今年のハロウィンは、私が妹さんを連れてきたことになるのかなあ」

男「いやいや、それは勘弁してくれよ。サキュバスは淫魔なんだから――」


ハロウィンは日本で言うお盆みたいなものだ。
死んだ妹の魂が家に帰ってくるのはうれしいけれど、淫魔と一緒に帰ってきたと思うと微妙な気持ちになる。


幼馴染「はいはい、私じゃなくて咲希ちゃんが連れてくるんだもんね」

男「今年も遊びに来てくれるかなあ」

幼馴染「来てくれるといいよね」


13
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:48:07 ID:M0yTOYaY
男「ところでさあ、ずっと下着姿でいるつもり?」


黒いベビードールが官能的に魅せる、豊満な乳房。
そしてガーターベルトとストッキングが作り出す、扇情的な太もも。
俺もオトコだし、そんな格好でいられると目のやり場に困る。


幼馴染「し……下着姿じゃなくて、ちゃんとした衣装だもん。少し恥ずかしいけど//」


どうやら、着替えるつもりはないらしい。
まあ、遊びに来るのは女の子だから別に良いか。
とりあえず、ハロウィン衣装だし――。


14
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:54:46 ID:M0yTOYaY
ピンポーン♪

幼馴染「あっ、咲希ちゃんが来たのかも!」


幼馴染はそう言うと、笑顔で玄関に向かった。
そして咲希ちゃんであることを確認してから、ドアを開けた。


幼馴染「happy halloween」

少女「ハッピーハロウィン♪」

男「咲希ちゃん、ハッピーハロウィン」

少女「ハッピーハロウィン♪」


咲希ちゃんはそう言うと、ぺこりと頭を下げた。
ハロウィンらしい魔法使いの格好をしていて、なぜかネコ耳カチューシャを付けている。
萌える魔法少女がコンセプトなのかもしれない。


15
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 21:57:23 ID:M0yTOYaY
少女「トリック オア トリート!」

男「ああ、そうだね。今年はかぼちゃプリンを作ってみたよ」

少女「かぼちゃプリンですか?!」

男「そろそろ冷えている頃だと思う。みんなで食べようか」

少女「はいっ♪ 私、すっごく好きなんです!!」


咲希ちゃんはきらきらと目を輝かせた。
よほど、かぼちゃプリンに思い入れがあるらしい。
大丈夫だと思うけど、何だかプレッシャーを感じてしまう。


幼馴染「咲希ちゃん、上がって上がって」

少女「お邪魔します」


16
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:00:50 ID:M0yTOYaY
咲希ちゃんをダイニングに案内し、俺と幼馴染はキッチンに向かった。
そして冷蔵庫からかぼちゃプリンを取り出し、まずは死んだ妹にお供えをした。
妹はかぼちゃプリンが好きだったから、もし忘れたら何を言われるか分かったものではない。


男「それじゃあ、食べようか」

少女「いただきま~す♪」

幼馴染「いただきます」

少女「……! すごく美味しいです//」

幼馴染「舌触りが滑らかで、かぼちゃの風味もしっかりしているよね」

少女「ですよね。なんだか上品な感じがします」


咲希ちゃんはプリンを一口食べて、感嘆の声を漏らした。
幼馴染も美味しそうに食べているし、二人の笑顔を見られてほっとした。


17
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:06:45 ID:M0yTOYaY
少女「そういえば、幼馴染さんはどうして服を着ていないんですか」

幼馴染「いやいやいや、これがハロウィンの仮装なんだけど」

少女「ええっ、そうだったんですか?!」


咲希ちゃんは驚いて声を上げた。
どうやら、下着姿だと思っていたらしい。


幼馴染「そうだよ。背中にね、悪魔の羽が付いているの」

少女「ほんとだ! 幼馴染さん、えろ可愛いです//」

幼馴染「ありがとう。咲希ちゃんもすごく可愛いよ」

少女「えへへ// 今年が最後かもしれないし、頑張って作ったんです」

幼馴染「すごい! その衣装、手作りなんだ」

少女「そうですよ。施設のミシンを借りて、ガガガガッて縫いました。お裁縫、実は結構得意なんです」


18
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:11:23 ID:M0yTOYaY
男「ねえねえ、今年で最後ってどういうこと?」

少女「来年から中学生だし、今は小さい子がいなくて……。だから、来年はハロウィンをしないかもしれないんです」

男「そうなんだ。俺がいたときには結構いたのに」

少女「みんな出て行っちゃいました」


俺と幼馴染が3年前に退所したときは、咲希ちゃんを含む年少の子供たちが一緒に住んでいた。
それが今はいないということは、里親に委託されたり縁組が決まったりしたのだろう。
それはそれで、良いことなのかもしれない。


幼馴染「それじゃあ、咲希ちゃんはもう遊びに来なくなるの?」

少女「ハロウィンをしないのは施設だけですし、私はまた遊びに来たいと思います」

男「俺たちはいつでも待ってるから」


19
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:16:51 ID:M0yTOYaY
少女「それはそうと、それは何の仮装なんですか」

幼馴染「ああ、これ? これはサキュバスの仮装なの」

少女「へえ、そうなんだ。サキュバスって、どんな悪魔なんですか」

幼馴染「男の人を誘惑してエッチなことをする悪魔だよ」

少女「え……エッチなこと//」

幼馴染「いやらしい夢を見せて、男の人を夢精させるんだって」

少女「あはは、そんな悪魔がいるんだ~」

男「おい、幼馴染。あまり変なことを教えるなよ」

幼馴染「咲希ちゃんも喜んでいるみたいだから、別に良いんじゃないの?」

男「でも、サキュバスは淫魔だろ」

少女「私、幼馴染さんがサキュバスの仮装をした理由が分かる気がします。サキュバスって、すごく良い悪魔だし!」


20
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:31:07 ID:M0yTOYaY
幼馴染「ねえ、咲希ちゃん。サキュバスはエッチなことをする悪魔なのに、どうして良い悪魔なの?」


さすがの幼馴染も、その発言は気になったらしい。
咲希ちゃんは一体どういうつもりで言ったのだろうか。


少女「えっと……この前、学校で性教育の授業があったんです」

少女「男子は思春期になったら精子が作られるようになって、自分でマスターベーションをして射精したり、眠っているときに夢精するようになるんですよねえ」

幼馴染「そうだよ」

少女「だけどそれは恥ずかしいことや悪いことではなくて、すごく素敵なことだと習ったんです。赤ちゃんを作れる身体になったということだから、すごく嬉しいことなんですよね」

幼馴染「うん、咲希ちゃんの言うとおりだと思う。男の子も女の子と同じで、赤ちゃんを作れる身体に成長したことは、とても素晴らしいことなんだよ。だから、みんなが自分の身体と性を大切にしないといけないし、異性のことも同じように大切にしていかないといけないの」

少女「……はい//」

少女「だからこそ、私は夢精をしたときに、それが悪い悪魔の仕業だと考えるのは良くないと思うんです」


21
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:34:51 ID:M0yTOYaY
一体どういうつもりかと考えていたけれど……。
咲希ちゃんの言葉を聞いて、俺はとても感心させられた。

サキュバスはすごく良い悪魔である。

俺は今まで、そんなことは一度も考えたことがなかった。
サキュバスは悪魔なのだから、人を呪って当然の存在だと考えていたのだ。
しかし、それは間違っていた。

男性が夢精をするのは、心身が健全に成長している証拠でもある。
それに関わっているサキュバスは、本来ならば男性の成長を祝福する精霊として厚遇されるべきなのだ。
それなのに悪魔として貶められたのは、サキュバスの生い立ちが関係しているのかもしれない。

人間から悪魔に堕落した女、リリスの娘だから――。

そんな偏見や差別、宗教観。
それらの眼差しがサキュバスに向けられた結果、真逆に評価されることになってしまったのだ。
そしてそれは、今も根強く残っている。


22
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:36:39 ID:M0yTOYaY
幼馴染「そうだよね。そう言われてみれば、サキュバスを悪い悪魔だと考えるのは良くないことだと分かるよね」

少女「はい、そうです。偏見やイメージだけで決め付けてしまうのは、すごく残念なことだと思います。だから私は、頑張っている人をちゃんと見ていきたいんです」

男「そうだよな。咲希ちゃんの言うとおりだ」


俺は幼馴染に『俺たちと同じだ』と言っておきながら、サキュバスの本質をまったく見ていなかった。
そしてそれは、俺自身に偏見と差別の視点があったことを意味している。
もっと多角的に捉えて、物事を広く考えるようにしなければならない。

それにしても、咲希ちゃんに教えられることになるとは思わなかった。
入所してきた頃は幼い少女だったのに、いつの間にか自分の意見を言えるほどに成長していたらしい。
俺は得意げに話す咲希ちゃんを見やり、深く自照した。


23
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:38:06 ID:M0yTOYaY
少女「ところで、幼馴染さん。サキュバスの仮装をしているってことは、もしかして男さんとキスとかエッチなことをしたことがあるんですか//」

幼馴染「それはまあ、私たちは付き合ってるし。そういうことも普通にしているわよ」

少女「わわっ、そうなんだ//」

少女「それじゃあ、男の人のものが入ってくるのはどんな感じなんですか」

幼馴染「どんな感じって?!」

少女「その……初めてセックスをするときって、かなり痛いんですよねえ。それなのに身体の中に入れないといけないなんて想像したら、すごく怖いじゃないですか」

幼馴染「ねえ、男。ちょっとだけ、向こうに行っててくれる?」

男「おい、ちょっと待て。どうして、急にそんな話になってるんだよ」

幼馴染「それは咲希ちゃんが聞いてきたからだよ」


24
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:40:47 ID:M0yTOYaY
男「聞かれたからって、小学生にそういう話をするのは良くないだろ」

幼馴染「小学生とは言っても、来年から中学生でしょ。咲希ちゃんは興味があるみたいだし、ちゃんと話し合わないといけないんじゃないかなあ」

男「それはまあ、そうかもしれないけど……」

幼馴染「だったら、少し席を外してくれる? 男がいると話しにくいこともあるし」

男「……はあ、分かったよ」


俺は食べ終わったプリンのカップとスプーンを持って、仕方なくキッチンに移動した。
そのほうが咲希ちゃんは話をしやすいだろう。
まあ1DKだから、全部丸聞こえなんだけど――。


25
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:42:48 ID:M0yTOYaY
幼馴染「えっと、初めてのときはどんな感じかって話だったよね」

少女「はいっ//」

幼馴染「初体験は彼の部屋でしたんだけど、陰茎が入ってくる時はすごく痛かったよ。でもその後は、幸せな気持ちでいっぱいだった」

少女「すごく痛かったのに?」

幼馴染「そうだよ。好きな人と一つになることが出来た証だと思うと、今までにないくらい幸せな気持ちになれたの。本当にすごく嬉しかった//」

少女「そうなんだ……」

幼馴染「分からないことばかりで不安かもしれないけど、お互いに想いあう気持ちがあれば、咲希ちゃんも幸せなセックスが出来ると思う。だから怖がる必要なんてないんだよ」

少女「お互いに想いあう気持ち――か」

幼馴染「うん、そんな気持ちが一番大切なの。だって、セックスは好きな人と一緒に二人ですることなんだから」

少女「そうですよね。何だか、幼馴染さんが羨ましいです//」


26
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:45:33 ID:M0yTOYaY
幼馴染「それじゃあ、セックスは何のためにすると思う?」

少女「えっ?! 何のためって、お互いに好きだからするんじゃないんですか」

幼馴染「そういうことじゃなくて、勃起している陰茎を膣に受け入れて性的な刺激を与えたら、男の人はどうなると思う?」

少女「陰茎に性的な刺激を与えると、精液を射精すると思います」

少女「……あれっ? もしかして、セックスをしたら男の人は射精するんですか?!」

幼馴染「うん、そうだよ。そうしたら、女性器の中にたくさんの精子が入ってくることになるよね」

少女「それって、赤ちゃんが出来るんじゃ……」

幼馴染「はい、大正解♪ セックスは赤ちゃんを作るためにすることなの」

少女「ええっ、そうなんだ!!」

幼馴染「それって、すっごく大事なことだよね。だからセックスをするということは、母親として新しい命に責任を持つことが出来るということなのよ」

少女「それじゃあ、セックスは軽い気持ちでしてはいけないんですね」

幼馴染「咲希ちゃん、そのことは絶対に忘れないでね」


27
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:47:49 ID:M0yTOYaY
少女「でも、少しおかしくないですか」

幼馴染「おかしいって、何が?」

少女「幼馴染さんは男さんと付き合っているから、エッチなことも普通にしているって言っていましたよね。それなのに、どうして赤ちゃんがいないんですか」

幼馴染「それは避妊をしているからなの」

少女「避妊?」

幼馴染「望まない妊娠をしないように、避妊具を使ってセックスをすることだよ。私はコンドームを使っているんだけど、それは性行為で感染する病気を防ぐ効果もあるの」

少女「コンドームとか性行為で感染する病気とか、それって何なんですか?」

幼馴染「じゃあ、スマホで検索してみよっか!」


28
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:50:23 ID:M0yTOYaY
男「幼馴染、ちょっと待て。さすがにスマホ検索はやりすぎだろ」


俺は慌てて、キッチンから幼馴染に声を掛けた。
黙って聞いていれば、小学生にどこまで教えるつもりなんだよ。
軽い気持ちでしてはいけないと分かれば、それで十分じゃないのか?


幼馴染「そうやって教えないから、中高生が妊娠して中絶したり、生まれてすぐに捨てられる赤ちゃんがいるのよ。そんなの、みんな傷付くだけだと思う」

男「咲希ちゃんに限って、そんなことはないだろ」

幼馴染「そうかもしれないけど、リスクを背負うのは女の子なんだよ。それに、万が一ってこともないとは限らないでしょ」

男「それはそうだけど……」

幼馴染「咲希ちゃんのことを大切だと思うなら、私に任せてくれないかなあ」

男「……分かった、もう幼馴染に任せるよ。ちょっと買い物に行ってくるから、その間にちゃんと教えてあげてくれ」

幼馴染「了解♪ それじゃあ、行ってらっしゃい」

少女「えっ……あっ、行ってらっしゃい」


29
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 22:57:07 ID:M0yTOYaY
俺は家を出て、近所のスーパーに行くことにした。
今の様子だと咲希ちゃんは長居をしそうだし、ハロウィンらしいものを買っておいたほうが良さそうだ。
そう考えて、幼馴染の言葉を思い出した。

咲希ちゃんのことが大切だと思うなら――か。

初めて咲希ちゃんに会ったのは、高校生になってすぐのことだ。
俺の母親が入学祝いを持って会いに来たときに、小さな女の子が一緒にいたのだ。
その姿を見た瞬間、俺は妹が生き返ったかのような錯覚に囚われた。
それくらいに、彼女の容姿は妹にそっくりだった。

その1ヶ月後、彼女が『ひまわりの家』に入所してきた。
両親が交通事故に遭い、彼女だけが残されてしまったからだ。
俺はそのときに、初めて彼女の名前を知った。

『さき』

それは死んだ妹と同じ名前だった。


30
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:00:58 ID:M0yTOYaY
咲希ちゃんにとって、俺だけが唯一の血縁者だ。
そのことは、彼女も分かっているようだった。
そして一度会っていたこともあり、彼女は何かとよく俺に甘えてきた。

遊んで欲しいとか、勉強を教えて欲しいとか。
ときには、夜に寂しくなって俺の部屋に来ることもあった。

それらのことが、最初は不快だった。
家を出て行った母親とその再婚相手との娘なんて、受け入れられるわけがない。
しかも、そのせいで妹が殺されたのだから。

そんな気持ちが変わってきたのは、やっぱり妹に似ていたからかもしれない。
それでいて、妹と同じ名前。
いつしか、俺は彼女に妹の面影を重ねるようになっていた。

これからも、咲希ちゃんに笑っていて欲しい。
そして、たくさんのことを経験して欲しい。

『早紀』には出来なかったことが、咲希ちゃんには出来るのだから――。


31
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:02:27 ID:M0yTOYaY
・・・
・・・・・・
男「ただいま」


買い物から帰ってきて、俺はダイニングにいる二人に声を掛けた。
まだ性教育が続いているのか、楽しくおしゃべりをしているようだ。
それを気にしつつ、テーブルの上に買い物袋を置いた。


幼馴染「あっ、おかえり~」

少女「男さん、おかえりなさい」

男「話は終わったの?」

幼馴染「うん、最低限必要だなと思うことは」

少女「知らないことばっかりで、すごく面白かったです//」

男「そうなんだ。どんな話をしたのか知らないけど、俺から言えることがあるとしたら、軽い女にはならずに自分を大切にして欲しいってことかな」

少女「はい、そうですよね//」


32
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:04:13 ID:M0yTOYaY
幼馴染「ところで、男は何を買ってきたの?」

男「りんご」

幼馴染「ああ、アレをするんだ」

男「咲希ちゃんがいるし、何か余興をしようかなって」

少女「あれって、ダック・アップルですか」

男「そうだけど、ついでに恋占いもしてみる?」

少女「あわわ// そういう人は、い……いないです」

男「ははっ、そうなんだ」


俺は慌てる咲希ちゃんを見やり、キッチンから水を入れたたらいを持ってきた。
そしてフェイスタオルを用意して、りんごを4つ浮かべた。


33
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:09:18 ID:M0yTOYaY
男「ルールはりんごを一番早く取れた人の勝ちってことで」

少女「ふふん、負けませんよ!」

男「おおっ、かなりやる気だな」

少女「もちろんです。それじゃあ、私から挑戦してもいいですか」

男「いいよ」

幼馴染「じゃあ、私が時間を測ってあげるね。用意、スタート!」


その言葉と同時、咲希ちゃんは水の中に顔を突っ込んだ。
りんごがぷかぷかと動き回り、何度も息継ぎをしながらアタックしている。

そういえば、ダック・アップルには2つの由来がある。
ハロウィンがりんごの収穫時期と重なり、豊穣の象徴になっているからというもの。
そしてもう一つは、魔女狩りの時代に、捕まえた魔女を自白させるために行っていた拷問に由来しているというものだ。

咲希ちゃんは、ネコ耳魔法少女の仮装をしている。
後者の由来を考えると、正しい遊び方をしているのかもしれない。
そう考えていると、咲希ちゃんがりんごのヘタを咥えることに成功した。


34
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:13:56 ID:M0yTOYaY
少女「りんほ、ほれふぁした!」

幼馴染「1分12秒。なかなか、いいタイムなんじゃないの?」

少女「この記録はそう簡単には破れませんよ!」

幼馴染「じゃあ、次は私がするわね。咲希ちゃん、時間をよろしく」

少女「……はい。用意、スタート」


続いて、幼馴染が水の中に顔を突っ込んだ。
幼馴染の仮装はサキュバスなので、魔女狩りの由来には関係なさそうだ。

しかし、サキュバスもりんごには縁がある。
アダムとイブが食べた禁断の果実は、一説ではりんごだと解釈されているからだ。
そして二人に禁断の果実を食べるように唆した蛇が、リリスの夫でもあるサタンだったと言われている。

そう考えると、リリスの子供たちであるリリム・サキュバスが、楽園の外に禁断の果実を持ち出してしまう遊びは興味深いかもしれない。
原罪と失楽園がなければ、人はどうなっていたのだろう。


35
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:15:27 ID:M0yTOYaY
幼馴染「取れたっ!」

少女「幼馴染さんは2分35秒です」

幼馴染「えー、負けちゃった」

少女「だから言ったじゃないですか。次は男さんの番ですよ」

男「それじゃあ、俺TUEEEするけど良いかな」

少女「望むところです! 用意、スタート」


俺は大きく口を開けて、狙ったりんごをたらいの底に押さえつけた。
しかし沈めるときに向きが変わったらしく、思うように咥えられない。

そして息継ぎをして、二度目の挑戦。
今度は生意気にも、ぷかぷかと逃げられてしまった。
思っていたより難しいな、これ――。


36
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:16:28 ID:M0yTOYaY
少女「男さん、1分49秒」

男「今日のところは、これくらいにしておいてやるよ」

幼馴染「何それ、かっこ悪い」

少女「俺ツエーとか言ってたし、1分切ってほしかったですよね」

幼馴染「ほんとほんと」

男「……」

男「…………」

男「さてと、りんご飴でも作ろうかな」

少女「あっ! 誤魔化した!!」


37
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:21:28 ID:M0yTOYaY
俺は逃げるようにしてキッチンに行き、りんごの水気を拭き取って割り箸を突き刺した。
そしてレシピで分量を調べ、砂糖水を火に掛けた。


幼馴染「私に手伝えることってある?」

男「クッキーの型にサラダ油を塗っといてくれるかな」

幼馴染「うん」

少女「私は飴を掛けるのをやってみたいです」

男「じゃあ、もうすぐしたら出来るからやってみる?」

少女「はいっ!」


しばらくして、俺はトロトロになった飴をクッキングシートに少し垂らし、固まることを確認した。
そして火を止めて、まずは咲希ちゃんに手本を見せてあげた。


38
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:27:42 ID:M0yTOYaY
男「それじゃあ、今やったみたいに残りを全部してくれるかなあ。すごく熱いから気を付けてね」

少女「こんな感じで良いですか」

男「そうそう、そんな感じ」


咲希ちゃんは上手に飴を絡め、クッキングシートの上に並べていった。
そしてりんご飴を作り終わると、俺は鍋を受け取り、幼馴染が準備してくれたクッキーの型に残った飴を流し込んだ。


少女「後は冷めるのを待つだけですね♪」

幼馴染「楽しみだね~」


39
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:28:44 ID:M0yTOYaY
少女「ところで、男さん。りんご飴が4つあるってことは、1つはさきさんの分ですよね」

男「さきさん? ああ、妹のことか。そうだよ」

少女「ときどき思うんですけど、私はお母さんに愛されていたのでしょうか」

男「どうして、そう思うの?」

少女「だって、私の名前が早紀さんと同じだから――。とても優しかった記憶があるけど、私は早紀さんの代わりだったんじゃないのかなって思うときがあるんです」

男「早紀の代わりか」

少女「男さんも私のこと、早紀さんの代わりだと思っていますか?」


その言葉は、俺の心に重く圧し掛かった。
俺も咲希ちゃんに、妹の面影を重ねていた時期がある。
それは妹の代わりだったと言えないこともない。


40
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:32:04 ID:M0yTOYaY
幼馴染「咲希ちゃん、それは言いすぎじゃないかな。男が咲希ちゃんのことを代わりだと思っているなら、妹さんのプリンやりんご飴は作らないでしょ」

少女「あっ……、ごめんなさい」

男「いいよ、別に」

男「俺もむかしは、咲希ちゃんに妹の面影を重ね合わせていたし――。だからきっと、母親も咲希ちゃんに早紀の姿を重ね合わせていたと思う」

少女「そうなんだ……」

男「でもそれは、悪いことじゃないと思うよ。だって、咲希ちゃんの名前には意味があるだろ」

少女「意味……ですか?」

男「ほら、読み方は一緒だけど、咲希ちゃんの名前には『たくさんの希望が咲いてほしい』という願いが込められているじゃないか。きっと、咲希ちゃんは愛されていたと思う」


41
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:35:35 ID:M0yTOYaY
少女「たくさんの希望が咲いてほしい……か。そうだったら良いな――」

幼馴染「きっと、そうだよ。咲希ちゃんが来る前にね、サキュバスの生い立ちが妹さんに似ているって話をしていたんだけど、考えてみれば、咲希ちゃんもサキュバスなんだよね」

少女「あの、どういう意味ですか」


咲希ちゃんが困った顔で首を傾げると、幼馴染が説明を始めた。
そういえばリリスの子供たちも、父親が誰であれリリムと名付けられている。
その点で言っても、サキュバスと妹は似ているのかもしれない。


幼馴染「――それにね、咲希ちゃんが言ってたよね。サキュバスはすごく良い悪魔だって。それって悪魔じゃなくて、男の人の成長を祝福する女神みたいなものだよね」

少女「そうですね」

幼馴染「最初のリリムは残念なことになってしまったけど、その想いはお母さんのリリスを通じて繋がっていたんだと思う。だから咲希ちゃんも、お母さんを通じて早紀さんの想いが繋がっていると思うの」


42
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:36:31 ID:M0yTOYaY
少女「早紀さんの想いが、お母さんを通じて私に――」

幼馴染「そうだよ。そして咲希ちゃんと早紀さん、二人の想いが私たちに繋がっている。私はその繋がりを大切にしていきたい」

少女「そっか、同じ名前だからって悩む必要はなかったんだ」


そう言うと、咲希ちゃんは満面の笑みを浮かべた。
それは、どこにでもいる普通の小学生らしい笑顔だった。


幼馴染「良かったね、咲希ちゃんの笑顔が見られて」

男「幼馴染のおかげだよ。ありがとう」

幼馴染「私にとっても、咲希ちゃんは妹みたいなものだしね」

男「そっか、そうだな」


43
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:38:33 ID:M0yTOYaY
少女「そういえば、りんご飴は冷めてるかなあ」

男「もう大丈夫だと思うよ。今、食べるの?」

少女「いえ、可愛いラッピングをしても良いですか」

男「それじゃあ、少し待っててね」


俺はそう言うと、戸棚から小さい袋とリボンを取り出した。
すると、咲希ちゃんが俺の隣に歩み寄ってきた。
どうやら、自分でやりたいらしい。
そう思って袋を渡すと、咲希ちゃんはりんご飴を手に取った。


少女「よしっ、出来た~♪」

男「咲希ちゃん。大丈夫だと思うけど、ゲームで使ったりんごだから早めにね」

少女「はい。でも、これを食べるのは私じゃないんです」


44
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:39:30 ID:M0yTOYaY
どういうことだろう。
そう思っていると、咲希ちゃんはダイニングの写真立てを見詰めた。


少女「早紀お姉ちゃん――」

少女「ハッピーハロウィン♪」


咲希ちゃんは笑顔で歩み寄り、
かぼちゃプリンの隣にりんご飴をお供えした。

咲希ちゃんの想いが、初めて早紀に繋がった――。


45
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:43:38 ID:M0yTOYaY
・・・
・・・・・・
日が傾いた頃、咲希ちゃんはりんご飴とべっこう飴を持って施設に帰っていった。
小学生最後のハロウィン。
充実した時間になってくれていればと思う。


幼馴染「紗希ちゃんも大人になったよね」

男「そうだな。初めて会ったときは子供だったのに……」


妹の写真の前にお供えされた、咲希ちゃんが作ったりんご飴。
死んだ妹の想いは、俺たちの心の中で繋がっているのだ。

だから今、考えていることがある。
もう少し貯金が貯まって生活が安定すれば、咲希ちゃんと一緒に暮らしたい。
そのことは、おいおい幼馴染も含めて3人で話し合おうと思う。


46
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:49:07 ID:M0yTOYaY
男「そういえばさあ、サキュバスの生い立ちの話をしていたときに、失楽園の物語でリリムが出て来ないことを気にしていただろ」

幼馴染「うん」

男「アダムとイブが食べた禁断の果実は、楽園に残っていたリリムたちのことだったのかもしれない。それを大切にしなかったから、蛇の姿で唆したサタンは呪いを受けて、アダムとイブは原罪を背負うことになってしまったんだ」

幼馴染「そっか。そうだとしたら、リリスも悲しいね」

男「楽園のはずなのに、リリスやリリムには楽園ではなかったんだろうな」


俺の母親はどうだったのだろうか。
思い返してみれば、入学式などのお祝い事のときには必ず会いに来てくれていた。
妹の死を知ったときも、酷く悲しんでいた。

もしかしたら、一緒に暮らせない理由があったのかもしれない。
サタンが禁断の果実を食べるように唆したように、再婚相手が連れ子を嫌がっていたのかもしれない。

真実は分からないけれど、母親だけは俺と妹のことを愛してくれていた。
それだけは間違いないだろう――。


47
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:50:07 ID:M0yTOYaY
幼馴染「ところで、男性のサキュバスもいるのかなあ」

男「ああ、いるよ。インキュバスって言うんだ」

幼馴染「それもリリムなの?」

男「リリムっていうのは、そもそもリリスから生まれた子供たちのことだから」

幼馴染「そうなんだ。じゃあ、妹さんと兄妹の男もリリムってことになるよねえ」

男「んっ? まあ、そうだな」

幼馴染「それでね、サキュバスは男性の成長を祝福する女神だったでしょ」

男「あ……ああ、そういう話だったな」

幼馴染「そこまで言えば、もう分かるよね?」


48
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:57:29 ID:M0yTOYaY
幼馴染はそう言うと、背中に腕を回して悪魔の羽を取り外した。
サキュバスの仮装から、一人の女性に戻ったのだ。

目の前には、下着姿の幼馴染。
じっと俺を見詰めて、その答えを待っている。


男「これからも大変なことが多いだろうけど、俺は幼馴染を祝福したい」

幼馴染「……うん」

男「お前だけをずっと愛してる」


俺は真剣な眼差しを向けて、そっと唇を重ねた。
そして、優しく抱き締めた――。


49
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:58:09 ID:M0yTOYaY
幼馴染「今日はハロウィンだよね♪」
―完―


50
以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/31(土) 23:59:14 ID:M0yTOYaY
ハロウィンらしくない内容だったかもしれないけど、以上で終わりです。
ありがとうございました。


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